~広島 夏の思い出~
20歳の時、夏休みを利用して父が単身赴任をしていた広島を訪れました。父は広島駅まで迎えに来てくれて、そこから広島の繁華街や平和公園など市内観光をしました。その時平和公園の原爆ドームを見たり、川縁を歩いたりした記憶はあるのですが、原爆資料館に行った覚えがないのです。何故行かなかったのかは定かではありませんが、遠い過去の話、内容の凄絶さに見なかったことになっているのかと思ったりもしています。
それから数年後に、父はその次の赴任地の大阪で、57歳の若さで突然この世を去りました。その数年前の最初で最後の父との二人旅。共に歩いたあの時の広島は、原爆ドームの向こう側に青く澄んだ夏空が広がり、市内を流れるきれいな川や並木の緑も深く、色々な花が咲き、商店街は賑わい、行きかう人々の姿など、平和そのもののような風景でした。
子供の頃、夏になると父は私たち兄弟姉妹によく戦争の話をしてくれました。冗談好きで優しかった父が伝えてくれた戦争の話と、二人で歩いた平和で美しかった広島が私の大切な夏の思い出です。
世界で初めて原爆を落とされた広島・長崎が原爆兵器の被害の壮絶さと戦争の悲惨さ、平和の大切さを教えてくれる場所として、これからも戦争を知らないたくさんの人々が訪れ、戦争の悲惨さと平和の大切さを知る場所であり続けますように。
S.Y.姉
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