『 あなたがたに思い出させたい 』
ペトロの手紙二 1章12~15節
本書簡は、使徒ペトロが死を目前にして書いた遺言のような書物であると言えましょう。彼は死が近づいていることを知っていたため、この手紙を受け取る教会の信徒たちに愛と真心を込めて大切に残したい言葉を伝えています。
ペトロが伝えようとしたことこそ、「神の子どもとして召されていること、選ばれていること、そして永遠の神の御国への確信」(10節)でした。ペトロがこの手紙を書いていた当時はローマ帝国による迫害が最も厳しくなっていた時、試練の時でした。
だからこそ、神が私たちを召し選んでくださったという確信は、信仰の旅路で辛く苦しい時にも挫けずに信仰の歩みを続けさせ、あらゆる試練や苦しみを乗り越えるための力となります。しかし、その確信が確かでなければ、苦しみや試練が襲ってきた時に、砂の上に立てた家のように根こそぎ倒され、流されてしまうことになるでしょう。そこで使徒ペトロが宛先の信徒たちに強調して勧めたのが「思い出させたい」という言葉でした。
「従って、わたしはいつも、これらのことをあなたがたに思い出させたいのです。あなたがたは既に知っているし、授かった真理に基づいて生活しているのですが。わたしは、自分がこの体を仮の宿としている間、あなたがたにこれらのことを思い出させて、奮起させるべきだと考えています。(Ⅱペトロ1:12~13)」
主イエスは公生涯を通して繰り返し弟子たちに教え、とりわけ愛弟子であったペトロに神の国の福音を示されました。主イエスが昇天された後、ペトロと弟子たちは、聖霊の助けをいただいて主の教えの御言葉を思い出しながら、キリストの十字架と復活の証人としての生涯を歩み続けることができたのです。
そして、いよいよ彼も天に召される日が近づいていることを知ってからは、自分自身が主イエスから教えられていた福音の御言葉を大切に信徒たちに思い出させ、彼らを奮起させる必要があることを感じていたわけです。
私たちもいつかはこの世を去ります。その時まで私たちが心を尽くして教会の霊的家族や肉の家族、また友人たちに残すべきことについて、悔いのないようにしたいものです。とりわけ常に思い出させるべきことこそ、主イエス・キリストによる福音、聖書の預言の御言葉への揺るがない信仰ではないでしょうか。
願わくは、神の家族の残された生涯が、日々霊の糧となる御言葉を大切に黙想する中で、大切な人々にいつまでも思い出させる最高のプレゼントを証しとして残すことができますように…。シャローム!
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