2023年7月12日水曜日

2023.7.9 本日の宣教

 『 ヨハネのように 』~欲望から愛へ 

                                                                          マルコによる福音書10章41~45節

使徒ヨハネは「愛の使徒」と呼ばれるほど、彼が書いたとされるヨハネによる福音書や3通の手紙の中には、「愛」という言葉が溢れています。しかし、福音書に登場するヨハネについて主イエスは彼と彼の兄弟ヤコブと合わせて「ボアネルゲス」、すなわち「雷の子ら」という名を付けられました。その呼び名通り、ヨハネはちょっとしたことでカッと怒ってしまうような気の短い気質の持ち主でした。ヨハネの気質が分かる場面として、サマリヤの町で人々が主イエスに耳を傾けようとしなかった時、天から火を降らせて、彼らを焼き滅ぼそうと提案したり(ルカ9:51~55)、メシア王国で自分たちを主イエスの両脇に座らせて欲しいと欲張ったり(マルコ 10:35-45)していた場面があります。それほど、ヨハネは雷のようにすぐ燃えてしまうような人であって、常に他人よりは自分自身の欲望を優先する自己中心的な性格の持ち主であったことが分かります。

しかし、主イエスはそのようなヨハネに対して、彼に「愛の人」としての幻を抱かれ、愛と忍耐をもって接してくださいました。ヨハネによる福音書では、ヨハネという名前は登場せず、「イエスの愛する弟子」という表現が繰り返し使われていますが、この表現は、ヨハネ自らの主イエスに愛されている者であるという自己認識と誇りを表していると言えましょう。さらにヨハネは、主イエスの十字架と復活を通して示された大いなる神の愛に触れることで、真の愛の人、忍耐の人に変えられていったのです。その証しとなったのが、ヨハネによる福音書であって、三通の手紙です。

イエス・キリストの十字架と復活の愛の福音には力があります。その福音が人を変えるのです。その愛の福音によって変えられたヨハネは、自身の弱点を神の国の福音を伝えるための強みに変えることになります。そして燃える愛をもって隣人を愛し、徹底して仕える愛の人に変えられたのです。

これまでの2000年間、イエス・キリストの愛は多くの人を感動させ、彼らの人生を変えていきました。神でありながら天の御座を捨て、人となってこの地に来られた主イエスは、十字架の死によって罪人たちのための贖いを成し遂げられました。主イエスの真の愛に触れた人々は心打たれ、主を迎え入れて彼らの人生の主とし、主と共に歩むことを決心するようになりました。私もそのうちの一人ですし、おそらくあなたも同じでしょう。また、私たちを通して主イエスに出会う人々もそのように変えられていくでしょう。ハレルヤ!

「イエスは、わたしたちのために、命を捨ててくださいました。そのことによって、わたしたちは愛を知りました。だから、わたしたちも兄弟のために命を捨てるべきです。(ヨハネの手紙一3:16)」


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