2023年3月29日水曜日

2023.3.19 本日の宣教

 『 試練の中で成長する共同体 』 (サムエル上22:1~2)

 預言者サムエルから油を注がれたダビデの生涯は栄光に輝くものと思っていました。しかし、彼の人生は油注がれた時から10年以上もサウル王から、謀反を企てた反逆者という濡れ衣を着せられ、逃亡生活を余儀なくされてしまいます。よく「クリスチャンになって、かえって試練が多くなってしまった」というつぶやきを耳にしますが、それと似ているかもしれません。

 ダビデは命を狙うサウル王から逃げ、荒野へ、山々へ、洞窟へ、異国の地へと身を隠し続けます。本日の御言葉には、「アドラム(避け所の意味)」の洞窟に身を隠すダビデの姿が描かれています。かつては、王宮で王女の婿として満ち足りた生活をしていて、人々の称賛を受けていたダビデでしたが、今は命の危機にさらされ、行き詰まった洞窟の中に身を隠すという現実が、今ダビデが置かれている状況を物語っています。しかし神は、このアドラム洞窟での暗闇の時の訓練を通してダビデに偉大なるビジョンを抱かれるのです。

 アドラム洞窟は、ダビデの人生においてとても重要な分岐点となります。なぜならば、今までのダビデは、サウル王から命を狙われ逃げ回るような逃亡者に過ぎませんでしたが、アドラム洞窟においてダビデは、当時のサウル王の統治のもとで苦しみを受けていたダビデの兄弟や家族をはじめ、「困窮している者、負債のある者、不満を持つ者」ら約400人ほどの者の指導者として生まれ変わることになるからです(22:2)。後に、ダビデが王になった後、アドラムの洞窟で共に訓練を受けた者たちが重要な役割を担うことになるわけです。その時の彼らの信仰告白を見てみましょう。詩編57編です。「わたしは心を確かにします。神よ、わたしは心を確かにしてあなたに賛美の歌をうたいます。目覚めよ、わたしの誉れよ、目覚めよ、竪琴よ、琴よ。わたしは曙を呼び覚まそう。主よ、諸国の民の中でわたしはあなたに感謝し、国々の中でほめ歌をうたいます(詩57:8~10)。」…神はアドラム洞窟という絶望の場所において、全世界の中で神の栄光を現すビジョンをダビデとそこに集まった400人の信仰共同体に与えてくださったのです。

アドラムの信仰共同体こそ、主イエスが立てられた教会のあるべき姿ではないでしょうか。主イエスは、この世の様々な支配や力、不義によって、抑圧され、苦しめられていた貧しく弱い人々の避け所となってくださり、神の国の交わりを示してくださいました。そして主イエスは、今日も様々な試練に遭い、救いと正義、愛の福音を求めてさ迷う人々を、キリストの体なる教会共同体が喜んで迎え入れ、彼らのアドラム(避け所)となることを望んでおられます。そこにこそ、教会共同体の存在の理由と目的があるのです。

コロナと戦争、自然災害、経済危機などによって苦しい叫び声をあげながら、希望の光を慕い求めさ迷っている人々の姿を見ます。願わくは、小泉町教会の信仰共同体がアドラム(避け所)としての役割を担うことが出来ますように…。私たちの神は試練の中でご自身の民を鍛錬され成長させてくださるお方です。アドラム洞窟という最も厳しい時を訓練と成長の時としたダビデのように、私たちも新たなビジョンへと歩み出すことができる信仰共同体となりますように。ハレルヤ!   


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