2022年10月5日水曜日

2022.10.2 小さな泉の恵み

 「流域治水」という単語をご存じでしょうか。これは近年の水害の激甚化・頻発化を受け、これまで行ってきた堤防の整備やダムの建設といった対策だけでは洪水を防ぎきれないとして上流から下流のすべての関係者が一体となって行う水害対策です。具体的には、洪水時に上流の田んぼに水を通常時より多く貯める「田んぼダム」や、大雨の前にダムや堰、ため池などの水位を事前に下げて貯めることのできる容量を増やす「事前放流」などがあります。しかしながら、これらの対策には簡単に見えて大きな課題が立ちはだかっています。

標高が高い上流で降った雨は速やかに下流に流れていくので上流では洪水は発生しません。つまり上流の人々や団体が「田んぼダム」や「事前放流」をやっても何の得にもならないのです。かえって「事前放流」をしたのに雨が想定より降らず、十分な利水用の水が確保できない、などの懸念事項が多く、非協力的な方がまだまだ多いのが現状です。河川事務所で働いている私も自治体や防災関係の方と話す際にこの課題に直面し悩むことが多いです。

イエス様が「汝の隣人を愛せ」と言われるように、流域に暮らす人々皆が助け合って治水に取り組むことで「流域治水」は効果を発揮します。流域全域の人が喜んで治水に協力してくれるような環境づくり、政策作りに将来的に取り組んで参りたいと考えています。

                               K.M.兄


0 件のコメント:

コメントを投稿