2021年9月9日木曜日

2021.8.22 本日の宣教

 『 キリストの証人たち 』          

「平和を実現する人々は、幸いである。天の国はその人たちのものである。」(マタイによる福音書5章9節)

日本の終戦記念日にあたる8月15日、カブールがあっけなく制圧され、アフガニスタンはタリバンに「平和裏」に政権移譲されました。政府軍がアメリカ軍の撤退で戦意を失い、大統領や政府の首脳陣は国を逃れ、アメリカ軍の一方的な侵攻から始まった20年間のアフガニスタンでの戦争が幕を閉じました。この間アフガニスタン政府軍・NATO側兵士・民間人の死者が推定約7万人以上、タリバン・アルカーイダ側が約7万人以上、民間人を含めて14万人以上の人が犠牲になりました。2000年9.11同時多発テロの報復でアフガニスタン侵攻を先導したアメリカ軍の兵士は、死者2,420人、負傷者19,950人とほぼ正確な人数がカウントされています。遠い国の戦争に駆り出され亡くなられた青年を送り出した家族はどのような思いでいるか悲しみが溢れます。

亡くなられた方の中には、ペシャワール会の中村哲さんやスタッフの伊藤和也さんを始め、現地のスタッフの方々もおられます。政権を掌握したタリバンが中村哲さんの思いや行動を引き継いでくれることを祈ります。

住む土地を追われ難民と化したアフガニスタン人は、1千万人とも伝えられています。そのうち6割は、既にアフガニスタンに帰還したものの、タリバンの制圧によってどのような将来が待ち受けているのか心配です。

アメリカは、対テロ戦争という名目でアフガニスタン・イラク戦争に踏み切り、大義なき戦争は、まさにパンドラの箱を開けたと語られ、イスラム国(ISIL)に団結の大義を与えました。民主化運動から始まったはずのシリアでの紛争もイスラム国が介入し、シリアの崩壊を招きました。都市は瓦礫と化し、シリア国内外で約1,160万人もの人々が支援を求めています。

日本のYMCAは、2003年にパキスタンのラホールにアフガン難民の子ども達の学校を開設しました。アフガン難民が居住していたゴミ捨て場となった公園に難民の退去が行われるまで約15年に及び毎年80人の子ども達の教育と給食の支援をラホールYMCAと協働で続けました。私も2009年から同盟総主事として、8年間直接支援に携わってきました。ラホールで出会った子ども達の輝く瞳と笑顔を想い出します。YMCAの学校で教育を受けた子ども達が国に帰還した後、どのような人生を歩んでいるかと想わされます。彼らが神様の導きとお守りの中で、国の再建のために「平和を実現する人」となることを祈ります。

                                 島田 茂


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