2021年9月9日木曜日

2021.8.15 本日の宣教

 『 今こそ、正義を洪水のように 』  (アモス5:21~24)       

「正義を洪水のように、恵みの業を大河のように、尽きることなく流れさせよ。」(5:24)

全世界がCOVID19による災難、それと伴い世界各地で立て続けに起きている自然災害に覆われていて、人々は救いと助けを叫び求めています。しかし、世界は主イエスの言われた通り、“不法がはびこり、人の間の愛が冷えている”状況です。今のような災難の時こそ、互いが愛し合い助け合わなければならないのに、自分自身と周りだけを愛し、隣人や苦しむ世界の方に目を向けることは避けてしまう。…どこを見ても暗闇ばかり、光は見えない。正義は破れ、不義が正義の座を占めている現実です。政治、経済、社会、文化、どこを見ても同じです。このような世界において声を上げ、神の国の愛と希望、正義を語るべきキリストの教会とキリスト者は個人の救いのみを求め、社会への無関心と無気力に包まれています。

その時、世界のキリスト教会とキリスト者たちに声をあげている一人の預言者がいます。正義の預言者とされる「アモス」がその人です。「神の正義」を叫び続けた預言者、「正義を洪水のように、恵みの業を大河のように、尽きることなく流れさせよ。」と、不義に染まっていた北イスラエル社会と政治、宗教の権力者たちの前で声を上げるのです。

「アモス」という名前は「重荷を負う者」という意味で、彼は故郷である南ユダを離れ、北イスラエルの聖所や都で預言活動をしました。彼が働いた時代は、北イスラエル王国の最後の繁栄の時代でありました。当時の北イスラエルの支配階層を占めていた人たちは、しばしの繁栄のゆえに、自分たちのお腹を満たすために、力のない者、貧しい者らを苦しめていました。社会正義は見えなくなり、支配者たちの横暴だけが満ちていたのです。宗教においては形式と儀式だけが残り、社会においては倫理の崩壊、腐敗、貧しい者たちへの虐待、快楽と淫行に満ちていた時代でした。

アモスはもともと職業的な専門職の預言者ではありませんでした。彼は牧畜と農業を営む最中に神に召され、突然預言活動を始めた庶民出身の最初の預言者でした。彼は、日々の神との交わりの中で、イスラエルの歴史についても、イスラエル共同体に対しても鋭い洞察力を備えており、神の御声を大胆に伝える人でした。しかも彼は、北イスラエルや南ユダにとどまらず、イスラエルを取り囲むダマスコ、ペリシテ、モアブなどの諸国に対しても正しい認識とメッセージをもっていました。

「正義を洪水のように」、当時の北イスラエルの人々は確かに定期的に神を礼拝し、献げ物をささげ続けていました。さらに律法で求められていた祭りの規定を細かく守っていたのです。しかし、いかに彼らが祭りを大切に行ない、献げ物をささげていても、彼らの生活が不義に満ち、「正義」と「恵みの業」を行っていなかったために、神は彼らの形式的な礼拝を嫌い、公義と正義を洪水のように、尽きることなく流れさせることを命じられているのです。

アモスは神が最も喜ばれる礼拝こそ、神の正しい正義を洪水のように、恵みの業を大河のように流すことだと教えます。個人の救いにとどまり、救われた民が負っている社会の救いに対する正義と公義という責任に目をつぶっているなら、神はアモスの裁きのメッセージをもって今現在の世界中のキリスト教会とキリスト者たちに迫って来られることでしょう。とりわけ新型コロナウイルスや地球温暖化による自然災害などで苦しむ暗闇の世界に向けて、今こそ、神の国の福音による救いと悔い改めと、救われた民らによる「正義を洪水のように流れさせる時」とを叫んでいく私たちでありますように…。ハレルヤ!


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