『 昇天され執り成される主イエス 』 (ローマの信徒への手紙8:31~34)
私たちのために十字架の上で苦しみを受け死なれた主イエスは、墓より復活され、40日間弟子たちと一緒におられた後天に昇って行かれた。そして天にあって父なる神の右に座しておられる。このことを聖書記者と初代教会の信徒たちは信仰信条の告白で表しました。
本日分かち合う使徒信条の「天に昇って、全能の父なる神の右に座しておられる」という告白の意味は、文字的、また空間的意味で考えてはなりません。まず、「天に昇られた」とは、復活されたイエス様が宇宙空間のどこかに消えてしまったのではなく、神の御もとに帰られたことを意味します。ここでの「天」は英語の「sky」ではなく、「heaven」です。すなわち、空間的意味でなく、次元的意味としての「heaven」、神の支配される世界を意味します。また、「右に座す」の「右」とは、「栄光、権威、力」を表わすのに使われます。また、「座す」とはヘブライ的意味で、その場所を支配し所有するという表現です。すなわち、主イエスが神の右に座しておられるとは、まずその場所が主イエスが永遠に支配される場所であり、主イエスが本来座るべきところに座しておられるという意味です。また「座す」のもう一つの意味に、“休息と安息、喜びと楽しさ”があります。ですから、主イエスが任せられた十字架と復活の働きを成し遂げられた後、最高の座に挙げられ、すべてを支配される中で喜びと楽しさを味われたということなのです。
神の家族の皆さん、主イエスの誕生、十字架の受難、死、復活、昇天は「過去の出来事」です。また、主イエスがこの世界を裁くために来られる再臨は「未来の出来事」です。しかし、天において父なる神の右に座し、世界と教会を支配し、治めておられるのは「現在の出来事」であるということをぜひ覚えてください。そしてそれだけではない。主イエス様が今父なる神の右に座してなされていることは何でしょうか。それこそ私たち神の子どもたちのための執り成しです。…「だれがわたしたちを罪に定めることができましょう。死んだ方、否、むしろ、復活させられた方であるキリスト・イエスが、神の右に座っていて、わたしたちのために執り成してくださるのです。」(ローマ8:34)…
私たちが生きている今の世界は、私たちの思いや期待の通りには流れていかない厳しい現実にあります。しかし主イエスは父なる神の右に座して、時間と空間を越え、世界中のキリスト者一人一人のために執り成し助けておられます。主イエスは、あなたと私を愛するゆえ、十字架の上で私たち罪人の代わりに苦しみを受け、命までも惜しまず与えてくださった。その命を捨てるほどの愛をもって、今も主イエスは神の右に座し、私たち一人一人のために執り成してくださり、時宜にかなった助けを与えてくださるのです。この御言葉の確かな約束と事実、これほど素晴らしい慰めのメッセージがあるでしょうか。ハレルヤ!
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