2020年3月17日火曜日

2020.3.15 本日の宣教

『エゴーエイミ 』~わたしだ!~ 
                                       ヨハネによる福音書64552

5つのパンと2匹の魚で5000人が満腹したという奇跡を経験した後、弟子たちは舟に乗って、向こう岸へ行くことになりました。驚くべき奇跡を体験した弟子たちは、押さえきれない興奮と熱狂の心に満たされていたことでしょう。しかし聖書はすぐ、湖の嵐に揺れ動く弟子たちの姿を描きます。先ほどまで弟子たちを捕らえていた興奮と熱狂の思いが一瞬で恐れに変わってしまう様子を目の当たりにすることができます。
弟子たちは、夕方から出かけたにもかかわらず、夜が明けるころまで目的地に着かず、湖の真ん中で苦しんでいました。ほとんどが漁師であって、湖に詳しい弟子たちでしたが、逆風のために波に悩まされ前に進むことができなくなっていたのです。彼らの中には主イエスがおられない。早くこの苦しい状況から逃れたいのに前の方に進めない状況。・・・私たちもこのようなことを人生の中で何度も経験します。
 しかし、ここで忘れてはならないことがあります。主イエスは、嵐の中で苦しむ弟子たちの姿をずっと見ておられたということです。今弟子たちの目の前にはイエスの姿は見えないけれど、主イエスは私たちの旅のために祈っておられ、見ておられたことを聖書は教えているのです。そしていよいよ、主イエス様は苦しんでいる弟子たちの前に現れます。湖を歩いて・・・。そして、聞こえてくる言葉、「安心しなさい。わたしだ。恐れることはない」(14:27
 荒波の中で苦しむ弟子たちにかけられた主イエスの力強い言葉です。そして今、新型コロナウィルスという荒波に苦しむ私たちの耳に聞こえてくる御声でもあります。“わたしだ”という言葉は、ギリシャ語で“エゴーエイミ”といいます。この言葉は聖書全体を通して、神がご自身を紹介される時によく使われる言葉です。旧約聖書でモーセにご自身を現わされる時にも用いられた言葉です。「わたしはある。わたしはあるという者だ」(出エジプト314
 これは創造者なる神、救いを与える唯一の神の名前であり、その神が目に見える姿をもって、わたしたちの人生の真ん中に立たれ、この言葉でご自身を表わされるのです。“エゴーエイミ~わたしだ~”・・・ 主イエスはこの言葉をもって私たちの人生の真ん中に入って来られ、恐れと不安を取り除いてくださるのです。
時々、今日の弟子たちのように、神の子どもたちの人生にも、突然の荒波による苦しみが押し寄せてきます。人生の海を渡ろうと一生懸命に漕ぎ出して見るけれど、なかなか前に進まない。しかし、私たちのために執り成される主イエスがおられる。そして、私たちの人生の荒波の苦しみのただ中で“わたしだ”と御声をかけられ、荒海を歩いて近づかれる主イエスを忘れないでください。2020年度の小泉町教会の航海は様々な嵐や苦しみに覆われるでしょう。しかし、私たちは心配しません。この航海は主イエスが命じられた旅であり、主が共におられるから。

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