『あなたの願い求めはどこから? 』
(ヤコブの手紙一 4章1~3節)
聖書が教える人生の目標は、神の御心に従って歩むことにあります。しかし、人間は最初の人アダム以来、絶えず各自の欲望を満足するために走ってきた歴史でした。その結果、度重なる戦争や差別、分裂などの問題は消えるどころか、むしろ力を増しているのが現実です。
今日、私たちを取り巻く世界的悲劇に目を向けると、そのほとんどが人間の欲望を火種として起きていることに気づかされます。ロシア・ウクライナ戦争、イスラエル・ハマス戦争も、また、地球温暖化による気候変動や自然災害も、人間の欲望がもたらした悲劇であると言えるでしょう。そのことをよく知りながらも、人間は欲望を抑制しようとせず、むしろ欲望の力を思うがままに振るう現状です。このままでは世界の破滅が確実であるにもかかわらず、ブレーキのない欲望の列車に乗り続けているような有様です。
本日、ヤコブは「あなた方の間に戦いや争いが起こる原因は何か」と問いかけることで4章を始めています。
使徒言行録2章に描かれた最初の教会は、まさに平和と一致に満ちた教会でした。しかし、時間が経つにつれて、教会内に争いや戦いが起こり、利己的な欲望に囚われる状況が生じていたようです。この箇所から明らかになるのは、宛先の教会内に対立と争いがあったことを示している点です。そして、その争いの原因を「内部で争い合う欲望」だとヤコブは断言しています。「内部で戦い合う欲望」とは、罪の性質のことであり、自己中心的で世を愛する心を指しています。
罪人である人間は欲望を持って生まれました。だから、 救われたキリスト者にとって地上での生活は霊的戦いの連続であります。そこでヤコブは、信徒たちの霊的戦いに目を向け、その戦いと争いの源が何であるかを知らせようとしています。神の敵であり、信徒たちを虜にしようと試みる存在である「サタン」は、「告訴する者」「敵対者」「反対者」という意味の名前通り、信徒たちの間に争いと分裂、差別を引き起こし、神と人、人と人、また自分との関係を崩そうとします。そのことを良く知っていたパウロは「あなたの願い求めはどこからくるのか?」と尋ねることで、すべての行いの土台となる「動機」の問題を明らかにします。
私たちの日常生活を振り返ると、争いや対立が外的な要因からではなく、私たちの内面から始まっていることに気付かされます。みんな家庭や職場、教会における人間関係の中で、衝突や対立を経験しながら、それらが単に外部の環境や他者の問題からではなく、自分自身の内側の「欲望」に原因があることを学びます。
そこでヤコブは、「祈りが受けられない理由こそ、「自分の楽しみ(快楽)のために使おうと」するからだと告げます。皆さんの祈りの動機はどこにあるでしょうか。
人の行いは、100%その動機と関係しています。その人の心の動機によって、その行いが決まるのです。そのことを良く知っていたヤコブは、私たちに「あなたの行いの動機はどこから来ているのか」と問いかけています。あなたの祈り、礼拝、献金、奉仕、願い求め、あなたのすべての行いは、どこから来るものなのかと問いかけながら、私たちの答えと決断を迫られているのです。シャローム!
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