「一隅を照らす(照一隅)」、昨年12月8日凶弾に撃たれ天に召された中村哲氏は、講演会や記者会見などで自身の活動を説明する際にこの言葉をよく使っておられました。
中村さんは以下の様に述べています。「どこでもいいから深い所へはいれ。我々は、つい色々な情報にあふれておってあれもある、これもある。それぞれに大事ですけれど、つい浅く広く表面的に流れやすいという中で1つの事をじっと追いかけて、真実を見極める。そこから何か『真理』が見えてくる。世界中を照らす事は出来ない。
・・自分が今いる場所で最善を尽くすことが、隣人や、世界を良くすることに通じるというもの。」
『照一隅』は、天台宗を開いた最澄の教えが出典とされています。マタイによる福音書5章 16節のみ言葉に通じます。「そのように、あなたがたの光を人々の前に輝かせなさい。人々が、あなたがたの立派な行いを見て、天におられるあなたがたの父を崇めるようになるためである。」
中村哲さんはその若き日、福岡の西南学院中学校在学中に聖書を通してイエス・キリストに出会い、香住ケ丘バプテスト教会においてバプテスマを受け、クリスチャンとしての歩みを始められました。九州大学医学部卒業後病院勤務を経て1983年に日本キリスト教海外医療協力会(JOCS)からパキスタンのペシャワールに派遣され、ハンセン病の患者の治療をされました。その時にアフガン難民の治療をされ、ペシャワール会を福岡YMCAに立ち上げます。2000年にアフガニスタンで大規模な干ばつがあり、井戸を掘り農業用灌漑用水を各地につくります。2001年にはアメリカのアフガニスタン侵攻後も現地での診療と井戸を掘り続け、1600本という井戸と灌漑用水を現地人と一緒に作ったそうです。
中村さんの行動と言葉は強烈です。宗教・宗派も国・部族間の違いをも超えて、「戦争などしている場合ではない。このまま干ばつが続くと敵味方関係なく多くの命が犠牲になる。今必要なのは水である。命をつなぎ、健康を守る綺麗な水が必要である。」イエス・キリストに従い、アフガニスタンの「一隅」で世の光として歩んだ中村哲さんの生き様は、小さな光ではなく、私にはあまりにもまぶしいです。小さな光でも『よく言っておく。この最も小さな者の一人にしたのは、すなわち、私にしたのである。』(マタイによる福音書25章40節)とイエス様に言っていただける人生を歩みたいです。
S.S.兄
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